東北大学 大学院農学研究科 応用生命科学専攻



研究内容について

 我々の研究室では1998年頃より我々自身による遺伝子改変マウス作製とその解析を中心に、動物の生殖機能制御と生殖腺・生殖細胞の分化、個体の発生に伴う形態形成制御、そして脳・神経系において行動を制御する遺伝子の機能解析研究などを開始しました。これらの研究は組織特異的な遺伝子欠損/改変マウス作製を基に、動物個体のレベルはもとより、細胞、蛋白質、遺伝子レベルでの解析も含めて大変活発に行われています。

研究プロジェクト
 これらの研究のため、幾つもの遺伝子改変マウスを我々は独自に作製してきました。中でもオキシトシン受容体KOマウスやOxtr-Venusマウス、Oxtr(fx/fx)マウス、そしてOXTR.cDNA.HA-IRES-Creなどの研究リソースは世界中に配られ、オキシトシン研究や、オキシトシンが何故自閉症スペクトラム障害の症状に対し何故改善効果を表すのか、と言った基礎的な研究分野での研究推進に大きな貢献をしています。

 我々は、最近、マウスに比べより高度な社会性を持つ北米産の平原ハタネズミについても、その遺伝子を改変する目処を付けました。今後、母性行動や社会的認知、社会的な緩衝作用や共感性と言った、向社会行動(prosocial behavior)の基盤的な神経回路そのものを明らかにし、何故ヒトが愛し、或いは同情し、又、憎み、嫉妬するのか、その神経基盤と制御メカニズムの解明に力を注ぐつもりです。また、脳研究は医学薬学分野、工学分野では大きな中心課題となっていますが、これからは農学部門でも、ますます重要で、また拡大発展する分野です。認知症予防食品、家族が仲良くなる果物、鬱状態になりにくい野菜、こんなものが実際、理屈上はあり得ることも、脳科学をやると判って来るんです(本当にあるかどうか、やってみましょうよ!)

 一方、GPCR(G蛋白共役型受容体)だと仮定して始めたLGR4遺伝子の機能解析研究は、腎臓機能や皮膚、乳腺、歯牙形成、受精卵の着床(脱落膜化現象)など、広く上皮で起きる様々な生物現象、発生や分化などに深く関与していることが判ってきました。興味深いことに、LGR4とそのリガンド、R-spoはm、脳視床下部では、摂食などの生理作用にも関与している可能性が浮上しています。

 また、現在、京都大学の淺沼 克彦先生との共同研究として発展しつつあるMagi-2遺伝子の機能解析は、腎臓糸球体のたこ足細胞(podocyte)のスリット版形成に深く関与していることや、腎不全メカニズムとも密接な関係がありそうなことがみいだされてきました。

  この様に、我々の研究は、遺伝子機能が個体レベルに反映される事、個体レベルでの機能に密接に繋がり、また、それが無いことが疾病の直接原因になる事、を必要条件とした課題選びにより、幾つもの興味深い遺伝子の機能解析に成功しています。

Operation of blastcyst Injection >for Win Movie

Operation of blastcyst Injection >for Qick Time Movie



(1) 遺伝子KOマウスによる、下垂体後葉ホルモンのオキシトシン(OT)とその受容体、オキシトシン受容体(OTR)の個体に於ける生理生殖関連機能、母性行動や攻撃行動、社会的認知行動などの”社会行動”制御における機能解析(詳細はこちら)

(2) 遺伝子KOマウスによる,7回膜貫通型みなしご受容体LGR4遺伝子の生体
での機能解明とそのリガンド探索に関する研究(詳細はこちら)


(3) 細胞透過性蛋白質の基礎と応用に関する研究(詳細はこちら)

(4) コンディショナル遺伝子KOマウスによる、BMPs受容体遺伝子Alk2とAlk3の頭部顔面形態の形成制御機構に関する研究(詳細はこちら)

(5) 遺伝子KOマウスによる,動物の生殖腺と生殖細胞の分化制御機構に関わるDmrt7遺伝子の研究(詳細はこちら)

(6) クロマチン構築とゲノム機能制御に関わるアクチン関連タンパク質(Arp)細胞核ファミリー、及びヒストンバリアントの機能解析(詳細はこちら)



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